目次
1.2040年問題とは:定義と年表
2.誰に影響するか
3.地域別の影響
4.労働人口減少の原因と日本社会への波及
5.2040年問題頃の介護事情とは何が起きるのか
6.最後に・・・
1.2040年問題とは【定義と年表】

1.1 2025年問題・2030年問題との違い
2040年問題とは、
団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)が高齢期に入り、日本社会の年齢構成が一気に歪むことによって発生する複合的危機を指します。
ここで重要なのは、
2040年問題が「単独の問題」ではないという点です。
年表で整理すると
- 2025年問題
団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる
→ 医療・介護需要が急増
→ 現場の逼迫が顕在化 - 2030年問題
生産年齢人口の減少が企業活動に直撃
→ 採用難・人手不足が慢性化
→ 企業の成長が鈍化 - 2040年問題
支える人がいない
→ 制度があっても回らない
→ 社会機能そのものが維持できない
つまり2040年問題は、
**これまで積み上がってきた問題の“総決算”**とも言えます。
1.2 政府予測と厚生労働省の試算

労働力・人口推計をわかりやすく
政府・厚生労働省の将来推計では、2040年頃には、
- 総人口が大きく減少
- 生産年齢人口が現在より数千万人規模で減少
- 高齢者1人を現役世代1人未満で支える構造
になるとされています。
この労働人口1,400万人の減少は東京都の総人口やベルギー国民の人口に匹敵します。
この規模の労働人口の減少が15年後にこの国に訪れるのです。
ここで見落とされがちなのが、
「労働力=頭数」ではないという点です。
- フルタイムで働ける人はどれだけいるのか
- 管理職・熟練技術者は足りるのか
- 若手を育てる余力はあるのか
これらを考慮すると、
企業が実際に使える労働力は、数字以上に不足する可能性があります。
2.誰に影響するか

2.1 世代別の影響:世代別・地域別の違い(都市部と地方・過疎化)
若年層:20代
一見すると「売り手市場」で有利に見えます。
しかし実態は、
- 人が足りない現場への集中配置
- 早期から重い責任を背負わされる
- 教育・育成の余裕がない
という環境に置かれやすくなります。
マネージメント世代:30~40代
最も影響を受けやすい世代です。
- 上が詰まり、下が少ない
- マネジメント負荷が増大
- 転職市場では「即戦力前提」
キャリアの方向性を誤ると、
身動きが取れなくなるリスクがあります。
キャリアの「収穫期」と「分岐点」が同時に訪れる50代
50代は、これまでのキャリアの集大成を迎える時期であると同時に、
「このまま延長線で働き続けられるのか」 が厳しく問われる世代です。
2040年問題の文脈では、50代はもはや「ベテラン」ではなく、
社会を実務で支える最後の中核世代として位置づけられます。
健康:働けるかどうかが前提条件になる
50代になると、個人差はあるものの、
- 体力の低下
- 生活習慣病リスクの増加
- メンタル不調の顕在化
などが現実問題として表れてきます。
ここで重要なのは、
**「多少無理がきく」ではなく「安定して働き続けられるか」**という視点です。
長時間労働や突発対応が常態化している職種では、
50代以降に入った途端、急激に負担が重くなるケースも少なくありません。
スキル:経験だけでは通用しなくなる現実
50代の転職市場では、
- 「経験豊富」
- 「現場を知っている」
- 「マネジメント経験がある」
といった強みが評価される一方で、
**「今も使えるスキルかどうか」**が厳しく見られます。
過去の成功体験だけに頼っていると、
- デジタル化への適応不足
- 新しい業務フローへの拒否感
- 若手との価値観ギャップ
が弱点として浮き彫りになります。
50代は、
スキルの「棚卸し」と「更新」を行う最後のタイミングと言っても過言ではありません。
需要のある職種か:役職より「実務価値」が問われる
2040年に向けた労働市場では、
- 肩書き
- 役職
- 年功的評価
の価値は急速に薄れていきます。
50代に求められるのは、
- 現場で手を動かせる
- トラブル対応ができる
- 若手を育てられる
といった実務に根ざした価値です。
この時期に
「管理職しかやってこなかった」
「現場から離れすぎている」
という状態だと、選択肢は一気に狭まります。
「引退」ではなく「働き方を変えて続ける」:60代以降
2040年問題の時代において、60代以降は
**「働くか・働かないか」ではなく「どう働くか」**を選ぶフェーズになります。
年金だけで生活を維持することは現実的に難しく、
多くの人にとって就労継続は「選択」ではなく「前提条件」になります。
健康:働き続けられるかどうかの最大要因

60代以降で最も大きな差を生むのが健康状態です。
- 持病の有無
- 通院頻度
- 体力・集中力の維持
これらによって、
- フルタイムが可能か
- 短時間・週数日が限界か
- 就労そのものが難しいか
が大きく分かれます。
そのため60代以降のキャリアは、
**「体に合わせて仕事を選ぶ」**ことが不可欠になります。
スキル:専門性がある人ほど長く働ける
60代以降で評価されやすいのは、
- 明確な専門スキル
- 属人化しない知識
- 教える・伝える力
です。
逆に、
- 会社の看板がなくなると価値が出せない
- 独自スキルが説明できない
場合、就労機会は一気に減ります。
この世代では、
「何ができる人なのか」を言語化できるかどうかが重要になります。
2.2 需要のある職種か「軽さ・継続性・社会性がカギ」
60代以降に向いている仕事の特徴は、
- 身体的負担が比較的軽い
- 経験が活かせる
- 社会的に必要性が高い
ことです。
例えば、
- 技術指導・教育
- 点検・保全・監督業務
- 相談・サポート・調整役
などは、
高齢化社会だからこそ需要が続く仕事です。
3.地域別の影響

3.1 都市部の傾向
- 仕事はある
- しかし人が足りない
- 労働密度が高い
「仕事がある=楽」ではなく、
消耗しやすい環境になりやすい点に注意が必要です。
3.2 地方・過疎地域の傾向
- 医療・交通・行政サービスの縮小
- 企業撤退
- 若年層流出
結果として、
「住む場所を選ぶ=キャリアを選ぶ」時代になります。
4.労働人口減少の原因と日本社会への波及

4.1 出生率低下と高齢化が招く構造的な縮小
生産年齢人口の推移:少子化の原因は単純ではありません。
- 不安定な雇用
- 将来不安
- 教育費・住宅費の高騰
これらが複合的に絡み合い、
**「子どもを持つ余裕がない社会」**を作ってきました。
結果として、
労働力不足は「一時的な問題」ではなく「回復しない前提条件」になっています。
4.2 就労率の変化/女性・高齢者の就労拡大と課題
確かに女性・高齢者の就労率は上がりました。
しかし現場では、
- 非正規雇用が中心
- 賃金水準が低い
- 責任だけ重い
という矛盾が起きています。
これでは
「働く人を増やした」ことにはなっても、
「支える力を強くした」ことにはなりません。
4.3 産業別の人材不足
:企業の採用・維持と労働力確保の困難
2040年に向けて、特に深刻なのは以下の分野です。
- 介護・医療
- 建設・設備・インフラ保全
- 製造業の現場系職種
- 物流・公共交通
これらは、
- 景気に左右されにくい
- 社会的に不可欠
- なくならない仕事
である一方、
待遇・評価が追いついていないのが現実です。
4.4 介護と医療介護現場が直面する深刻化
:在宅ケアから施設まで
介護サービス需要の急増と介護人材不足の実情
2040年には、
介護を必要とする高齢者が爆発的に増えます。
しかし、
- 介護職の離職率は高止まり
- 精神的・身体的負担が重い
- キャリアパスが見えにくい
という問題が解消されない限り、
サービスの質低下・提供制限は避けられません。
4.5 在宅医療・地域包括ケアの課題と医師不足の影響
在宅医療は「理想」として語られますが、
- 医師の偏在
- 看護師不足
- 家族依存の構造
により、
持続可能とは言い切れない現実があります。
4.6 医療費・社会保障費の増大と制度見直しの必要性
(介護保険含む)
社会保障費の増大は、
- 保険料アップ
- 給付抑制
- 自己負担増
という形で、
現役世代に直接返ってきます。
4.7 行政と公共インフラの機能維持が危機に
老朽化と財源不足:自治体の人手不足と公共施設・社会インフラ維持の困難
自治体ではすでに、
- 技術職員不足
- ベテラン退職
- ノウハウ断絶
が始まっています。
「公共だから安定」
という神話は、2040年に向けて崩れつつあります。
社会インフラの老朽化と投資遅延が招くリスク
(上下水道・交通等)
インフラは、
- 作るより
- 維持する方が
- 人も金もかかる
という現実があります。
人がいなければ、
壊れるまで放置されるインフラが増えます。
4.8 災害対応力と公共交通の脆弱化シナリオ
災害時に、
・対応が遅れる
・復旧が進まない
・人が戻らない
という流れが常態化すると、地域は急速に衰退します。
実際に東日本の震災から15年近く経ちますが現在でも全国全体で約27,600〜30,000人が、今なお自宅に戻らず避難生活を続けています。多くは福島県の原発事故影響地域によるものです。
さらに、自治体の財政力低下により復旧・防災投資が後回しにされ、次の災害に対する備えが不十分なまま時間だけが過ぎていきます。その結果、企業の撤退や新規進出の敬遠が進み、
「災害に弱い地域」という評価が固定化されてしまうのです。
5.2040年問題頃の介護事情とは何が起きるのか

5.1 結論から言うと
「介護が必要な人は急増するのに、支える人・受けられる環境が決定的に足りない」
これが2040年頃の介護の現実です。
5.2 介護需要はピークを迎える
2040年頃、日本では次の状態になります。
- 団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)が65~69歳に到達
- 要介護リスクの高い高齢者人口が最大規模
- 一人暮らし高齢者・老老介護が急増
特に問題なのは、
「家族が介護を担えない世帯」が圧倒的に増えることです。
- 子どもがいない
- 子どもが遠方に住んでいる
- 共働きで介護に割ける時間がない
結果として、
公的介護サービスへの依存度が一気に高まります。
5.3 介護人材は決定的に不足する
2040年に向けて、介護分野では
- 数十万人規模の介護人材不足
- 離職率の高止まり
- 新規参入者の減少
が見込まれています。
理由は明確です。
- 身体的・精神的負担が大きい
- 賃金水準が他産業より低い
- 夜勤・不規則勤務が避けられない
- キャリアパスが見えにくい
そのため2040年頃には、
「制度はあるのに、サービスを使えない」
「施設に入りたくても入れない」
という状況が、珍しくなくなります。
5.4 施設介護は「誰でも入れるもの」ではなくなる
2040年頃の介護施設は、
- 入所待ちが長期化
- 重度者・医療依存度の高い人が優先
- 料金の実質的な上昇
という方向に進みます。
特別養護老人ホーム(特養)であっても、
- 要介護度が高くないと入れない
- 地域によっては数年待ち
が当たり前になります。
つまり、
「いざとなったら施設に入ればいい」
という発想は通用しなくなる
ということです。
5.5 在宅介護・地域包括ケアの限界が見えてくる
国は「地域包括ケアシステム」を推進していますが、2040年頃には次の課題が顕在化します。
- 訪問介護員が足りない
- 医師・看護師の地域偏在
- 家族の負担が過剰になる
結果として、
- サービス回数が減る
- 対応エリアが縮小される
- 緊急時の対応が遅れる
など、
「在宅で支える前提」が崩れる地域も出てきます。
5.6 介護保険制度は「使えるが自己負担が重い」方向へ
2040年頃の介護保険は、
- 保険料の上昇
- 利用者負担割合の引き上げ
- 給付内容の見直し(抑制)
が避けられません。
特に現役世代にとっては、
- 介護保険料は増える
- 自分が使う頃には負担も重い
という 「二重の負担構造」 になります。
5.7 介護は「家族の問題」から「個人の人生設計の問題」へ
2040年問題の本質はここにあります。
- 誰が介護してくれるか
- どこで介護を受けられるか
- いくら払えるか
これらは、
老後になってから考える問題ではありません。
- どんな働き方をしてきたか
- どんな収入・資産形成をしてきたか
- どんな地域に住んでいるか
が、そのまま介護の選択肢を決めます。
5.8 転職者・求職者の視点で見た介護分野の現実
リスクだけでなく「機会」もある
介護分野は厳しい一方で、
- 需要がなくならない
- 景気に左右されにくい
- 高齢化が進むほど必要性が増す
という特徴があります。
特に今後評価されやすいのは、
- 介護 × IT(記録・業務効率化)
- 介護 × 医療連携
- 介護 × マネジメント・教育
- 介護 × 地域連携・調整役
といった 「現場+α」のスキルを持つ人材です。
6.最後に・・・
2040年問題は、
**「社会全体の課題」であると同時に、「一人ひとりのキャリア選択の結果が問われる問題」**でもあります。
人口動態、労働力不足、社会保障の限界。
これらは個人の努力だけでは変えられません。
しかし、その環境の中で 「どこで、どんな役割を担うか」 は、今からの選択次第で大きく変えることができます。
これからの転職・キャリア形成においては、
目先の条件や一時的な求人の多さだけでなく、次の視点を持つことが不可欠です。
- 人が減っても、社会から必要とされ続ける仕事か
- 年齢を重ねるほど、価値や信頼が積み上がる職種か
- 経験やスキルが「使い捨て」にならず、蓄積されていくか
- 業界や職種が変わっても、横展開できる汎用性があるか
加えて、忘れてはならないのが
転職市場は常に「外部環境」に大きく左右されるという事実です。
景気動向、技術革新、法改正、社会制度の変更。
これらは個人の意思とは無関係に、転職の難易度や評価基準を一変させます。
「今は需要がある仕事」でも、15年後も同じとは限りません。
だからこそ重要なのが、
15年後の自分を起点にして、今のキャリアを逆算する視点です。
- 2040年に、自分はどの年齢にいるのか
- その時、社会からどんな役割を求められているのか
- その役割を果たすために、今から何を身につけるべきか
こうした問いを持ちながら、
15年後の自身のキャリアにつながるスキルを念頭に置いて、今からキャリア構築を進めていくことも、
極めて現実的で有効な選択肢です。
不安定な時代だからこそ、
「変化に振り回されない場所」ではなく、
**「変化が起きても価値を発揮できる場所」**に身を置く。
それこそが、
2040年という大きな社会変化を生き抜くための、
最も現実的で、再現性の高いキャリア戦略だと言えるでしょう。
株式会社S.I.Dは今後も転職市場において有効な情報を配信していきます。
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