【未経験者向け】HACCP(ハサップ)とは?導入の背景やGMP・ISO22000との違い、食品業界で働くための心構えを徹底解説

目次

1.HACCP(ハサップ)について解説
2.食品業界で働く人に求められること
3.異業種から転職した人が驚くポイント
4.HACCPに関するキャリアビジョン
5.最後に・・・

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はじめに

「食品工場や食品メーカーに転職したい」
「給食施設や飲食業界で働いてみたい」

そんな方が入社後によく耳にする言葉が、

HACCP(ハサップ)

です。

食品業界で働く人にとっては当たり前の考え方ですが、異業種から転職してきた人にとっては、

「何だか難しそう…」

と感じるかもしれません。

しかし、HACCPは特別な知識ではありません。
むしろ、

「食の安全を守るための基本ルール」

です。

今回は、HACCPが生まれた背景や日本で制度化された経緯、そして食品業界で働くうえで必要な心構えについて、未経験者向けに分かりやすく解説します。

1.HACCPについて解説

1.1 HACCP(ハサップ)とは?

HACCPとは、

Hazard Analysis and Critical Control Point

危害要因分析・重要管理点

の略称です。

簡単に言えば、

食品事故が起きてから検査するのではなく、事故が起きないように事前に予防する仕組み

です。
従来は、製品が完成した後に抜き取り検査を行うことが一般的でした。
しかし、

  • 食中毒
  • 異物混入
  • 品質不良

などは、完成後の検査だけでは防ぎきれないこともあります。

そこで、
原材料の受入れから製造、包装、出荷までの各工程を管理し、

危険を未然に防ぐ

という考え方が世界中で普及していきました。

1.2 HACCPはどこの省庁が管轄しているの?

HACCPを管轄しているのは、

厚生労働省

です。

食品衛生法に基づき、

  • 食品工場
  • 飲食店
  • スーパー
  • 給食施設
  • 菓子製造業
  • パン製造業

など、食品を扱う事業者に対して衛生管理基準を定めています。
また、実際の監督や指導は、各自治体の

  • 保健所
  • 食品衛生監視員

が行っています。

営業許可の更新時や定期立ち入りの際に、HACCPに沿った管理が実施されているか確認されます。

1.3 なぜHACCPが導入されたのか?

背景には、

食中毒や食品事故を未然に防ぐ

という目的があります。

さらに近年では、

グローバル化

海外輸出の拡大

消費者の安全意識の高まり

も大きな要因でした。

欧米ではすでにHACCPによる管理が一般的であり、
海外へ食品を輸出するためには、

国際基準に沿った衛生管理

が求められるようになりました。
つまり、
HACCPは単なる国内ルールではなく、

世界共通の食品安全基準

でもあるのです。

1.4 日本ではどのように制度化されたのか?

日本では長い間、

「一般衛生管理」

が中心でした。
そして2018年に食品衛生法が改正され、
HACCPに沿った衛生管理の制度化が決定。

その後、

2020年6月1日  施行(1年間の経過措置) → 2021年6月1日  完全義務化

という流れで現在に至っています。

1.5 HACCPが義務化されたからといって大規模投資は必要?

「新しい設備を導入しないといけないの?」

と思う方もいますが、今回の制度化は設備(ハード)ではなく、管理方法(ソフト面)に関するものです。

そのため、
工場を全面改装したり、高価な設備を導入したりすることが義務ではありません。

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1.6 HACCPとGMPの違いとは?

食品工場では、

「GMP」
「HACCP」

という言葉がセットで出てきます。

混同しやすいですが、役割は異なります。

GMP(適正製造規範)

「良い環境で製品を作るためのルール」

例えば、

  • 作業服の着用
  • 手洗い
  • 清掃
  • 虫の侵入防止
  • 温度管理
  • 設備点検

などです。

つまり、

工場の土台作り

です。

HACCP

一方でHACCPは、

「どの工程で危険が発生するか」

を分析し、

重要な工程を重点管理する仕組みです。

例)カレー製造の場合

  • 野菜受入
  • カット
  • 加熱
  • 冷却
  • 包装

の中で、

加熱工程

が重要管理点(CCP)になります。

つまり、

GMP=基本ルール

HACCP=重点管理

という関係です。家に例えるなら、

・GMPが基礎工事
・HACCPが防犯システム

のようなものです。

2.食品業界で働く人に求められること

HACCPでは、

①ルールを守る
②記録を残す
③異常を見つけたら報告する

この3つが特に重要になります。

会社側には、

  • 衛生管理計画の作成
  • 手順書の整備
  • 従業員教育
  • 実施状況の記録と保存
  • 定期的な見直し

などが求められています。

そのため、

現場で働く従業員にも、

決められたことを確実に行う力

が求められます。

2.1 ISO22000やFSSC22000との違い

さらに大手食品メーカーになると、

ISO22000やFSSC22000という言葉も出てきます。

HACCP 法律で求められる最低限の衛生管理。

ISO22000 国際規格 食品安全マネジメントシステム。

PDCAを回しながら継続的に改善する仕組み。

FSSC22000 世界最高水準の食品安全認証。

海外輸出や大手コンビニ、スーパーとの取引で求められることもあります。

つまり、

GMP → HACCP → ISO22000 → FSSC22000

管理範囲や要求事項が広がっていくイメージです。。

転職者からすると、

認証を持っている会社=品質や教育体制がしっかりしている会社

という見方もできます。

2.2 品質保証や品質管理の仕事との関係

食品業界では、

品質管理(QC) ・  品質保証(QA)

という職種があります。

品質管理(QC)

現場寄りの仕事。

  • 微生物検査
  • 製品検査
  • 工程確認
  • 温度管理

などを行います。


品質保証(QA)

会社全体の品質を守る仕事。

  • HACCP運用
  • クレーム対応
  • 監査対応
  • ISO対応
  • 手順書管理

などを担当します。

最近では、

品質保証部門がHACCP事務局の役割を担う会社も多くなっています。

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2.3 食品工場でよくある失敗

未経験者が入社して最初にやりがちな失敗があります。

「これくらい大丈夫だろう」

これが最も危険です。

  • 温度記録を書き忘れる

  「後で書けばいい」 → 忘れる → 記録が残らない → 監査で指摘

  • 異常を報告しない

  「怒られそうだから」→ 黙ってしまう → 後で大問題になる

  • 手洗いを省略する

  「さっき洗ったから」→ 菌の持ち込み → 食中毒事故

  • 分かったふりをする

  「聞きにくい」→ 間違った作業 → 製品廃棄


食品業界では、

失敗することより、

隠すこと

の方が重く見られます。

3.異業種から転職した人が驚くポイント

  • 手洗いが多い

休憩後やトイレ後など、何度も手洗いやアルコール消毒を行います。


  • 身だしなみのルールが厳しい
  • ピアス
  • 指輪
  • ネイル
  • 香水
  • 腕時計

などは禁止されている職場も少なくありません。

  • 髪型にもルールがある

長髪の場合

  • お団子
  • ヘアネット着用

が必要になります。
男性でも、

  • 長髪
  • ヒゲ

に制限がある工場もあります。
また、
過度な染髪やジェルの使用を禁止している企業もあります。
応募前に確認しておくと安心です。

  • 記録を書く仕事が多い

食品工場では、

作業をした

だけではなく、

作業をした証拠を残す

ことも重要になります。
温度記録や清掃記録など、多くの記録を残します。


  • 体調不良を隠してはいけない

食品業界では、

「無理して出勤する」

ことよりも、

体調不良をきちんと報告する

ことの方が重要です。
下痢や腹痛などの症状がある場合の対応も衛生管理基準の一つとされています。

3.1 真面目な人ほど評価される業界

食品業界では、

  • 作業スピード
  • 器用さ

以上に、

  • 決められた手順を守る
  • 異常を見逃さない
  • 分からないことを確認する
  • 記録を丁寧に残す

といった姿勢が高く評価されます。
一人のミスが、
製品回収や企業の信用失墜につながることもあるからです。

だからこそ、
派手な能力よりも、

「当たり前のことを当たり前にできる人」

が活躍できる業界なのです。

3.2 食品工場は寒い?暑い?

食品工場というと空調の効いた快適な環境をイメージする人もいますが、実際には工程によって環境が大きく異なります。

  • 冷蔵品や冷凍食品工場では低温環境
  • 加熱工程では高温多湿
  • クリーンルームでは防護服着用

など、体力を必要とする職場もあります。

また、

  • 立ち仕事
  • シフト勤務
  • 夜勤

がある会社も少なくありません。

求人票を見る際には、仕事内容だけでなく、

  • 室温
  • 勤務形態
  • 夜勤の有無

も確認しておくことが大切です。

4.HACCPに関わるキャリアビジョン

4.1 食品衛生責任者の仕事とは?

「責任者」と聞くと管理職をイメージするかもしれませんが、必ずしも工場長や店長である必要はありません。

主な役割は、

従業員への衛生教育

  • 手洗いの徹底
  • 身だしなみの確認
  • 作業ルールの指導

HACCPの運用

  • 衛生管理計画の確認
  • 記録のチェック
  • 問題発生時の対応

保健所への対応

  • 立入検査時の説明
  • 必要書類の管理

現場の改善活動

  • 異物混入防止
  • 食中毒対策
  • 作業環境の改善

などです。

4.2 HACCPとの関係

2021年からHACCPに沿った衛生管理が義務化されたことで、食品衛生責任者の重要性はさらに高まりました。

食品衛生責任者は、

  • 衛生管理計画の運用
  • 記録の確認
  • 従業員教育
  • 改善活動

など、HACCPを現場で実践する役割も担っています。

近年では、
品質保証部門や製造部門のリーダーが食品衛生責任者を兼任している会社も多く見られます。

4.3 資格がないと食品業界で働けない?

結論からいうと、

食品衛生責任者の資格がなくても食品工場や飲食店で働くことは可能です。

食品衛生責任者は施設ごとに1名以上必要ですが、全員が取得する必要はありません。
そのため、未経験者や異業種からの転職者でも問題なく入社できます。そして入社後に、会社の費用負担で資格取得を勧められるケースも少なくありません。

4.4 どうすれば食品衛生責任者になれる?

食品衛生責任者になれる人は、

  • 調理師
  • 製菓衛生師
  • 栄養士

などの有資格者のほか、

都道府県などが実施する養成講習会を受講した人とされています。

養成講習会は、

  • 1日(約6時間程度)
  • 受講料1万円前後

で取得できることが多く、比較的取得しやすい資格として知られています。
難易度の高い国家資格ではありません。

4.5 食品衛生責任者=管理職ではない

ここは誤解されやすいポイントです。

責任者」という名前が付いていますが、必ずしも管理職や役職者である必要はありません

実際には、

  • 製造ラインのリーダー
  • 品質管理担当者
  • 品質保証担当者
  • ベテラン社員

などが任命されることもあります。
会社によっては20代の若手社員が担当していることも珍しくありません。

4.6 食品の安全を守る食品衛生責任者はキャリアアップの第一歩

食品衛生責任者は、単に「会社に1人必要な資格」ではありません。
食品業界で長く働いていくうえで、

キャリアアップの入口となる資格

でもあります。
例えば、

製造オペレーター
→ 班長・ラインリーダー 
→ 食品衛生責任者 
→ 製造係長・課長 
→ 品質管理(QC)/品質保証(QA)
 HACCP事務局 
→ ISO22000・FSSC22000管理責任者 
→ 工場長(事業所責任者)

というように、品質や衛生に関する知識を身につけることで、活躍の場は大きく広がっていきます。

経験を積むことで様々なキャリアパスがあります。
特に品質保証部門は、

会社の品質と信頼を守る最後の砦

ともいわれ、食品業界の中でも専門性の高い職種として重要性が増しています。
また、食品衛生や品質保証に関する知識は、転職市場でも評価されやすく、
食品メーカーや飲料メーカー、総菜工場、冷凍食品メーカーなど、幅広い企業で活かすことができます。

食品技術者 – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)

特に近年では、
HACCPやISO22000、FSSC22000などの食品安全マネジメントシステムを運用できる人材の需要が高まっており、
単純な作業者から、

品質や安全を管理できる人材

へ成長することで、年齢を重ねても活躍できる可能性が広がります。

近年では、食品業界でも人手不足やベテラン社員の高齢化が進んでおり、HACCPや品質保証の知識を持った人材は、今後ますます需要が高まると考えられています。

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4.7 HACCP担当者と食品衛生責任者は同じではない

食品衛生責任者とHACCPの担当者は必ずしも同一人物ではありません。

実際には、

  • 食品衛生責任者
  • 品質保証部門
  • 製造部門の管理者

などが協力しながらHACCPを運用している会社も多くあります。

そのため、

「食品衛生責任者の資格を持っていないとHACCPに携われない」

というわけではありません。

HACCPはチームで運用する仕組みであり、一人の担当者だけで成り立つものではありません。
製造部門、品質保証部門、品質管理部門、設備保全部門などが連携しながら、食品の安全を守っています。

5.最後に・・・

食品業界は、「美味しいものを作る仕事」であると同時に、

安全を作る仕事

でもあります。

食中毒や異物混入を防ぎ、人々が安心して食事を楽しめる当たり前の日常を支えているのが、HACCPに関わる仕事です。
そして、この「食の安全」を守る仕事は、人間が生きていく限り決してなくなることはありません。
古くから「衣・食・住」は人間の生活を支える基本といわれてきました。

どれほどAIやロボット、DX化が進んだとしても、

食べること

そのものがなくなることはなく、安全な食品を作り続ける人材の価値は、これからも変わることなく社会から求められ続けるでしょう。また、食品業界で身につけたHACCPや品質管理、品質保証、衛生管理の知識や経験は、一つの会社だけで通用するものではありません

品質管理(QC)品質保証(QA)生産管理工場管理、さらには工場長など、さまざまなキャリアアップの可能性があり専門性を身につけながら長く活躍できる業界でもあります。

華やかな仕事ではないかもしれません。

しかし、

  • スーパーやコンビニに並ぶ食品。
  • 学校や病院で提供される給食。
  • 家族で囲む毎日の食卓。

その「当たり前」を支えているのが、食品業界で働く人たちです。
そして、その当たり前を守るために欠かせない考え方がHACCPなのです。

もし、

  • 人々の生活を支える仕事がしたい
  • 景気に左右されにくい業界で長く働きたい
  • 社会に必要とされる仕事に携わりたい
  • 品質や安全に関わる専門性を身につけたい

そう考えているのであれば、食品業界は未経験からでも十分に挑戦する価値のある業界といえるでしょう。

この記事を書いている私たちは
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株式会社S.I.D です。

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これからも「人」と「仕事」の架け橋として、一人ひとりの新たなキャリアを応援していきます。

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