目次
1.「頑張る大人」を見て育ったはずなのに、なぜこうなったのか
2.終身雇用は“崩れた後”の世界しか知らない
3.情報過多社会が「夢」を現実に引き戻す
4.学校教育の今 ―進路指導で基本的に伝えていること-
5.時間を「コスト」ではなく「資産」として捉えている
6.正解ルートが消えた社会での“自己防衛”
7.この思考は「臆病」ではなく「進化」
8.「3年後に残る仕事」とは何か
9.最後に・・・

「この仕事、3年後の自分に残る?」と考えるのか
――それは不安ではなく、時代が生んだ“防衛本能”である
「最近の若者はすぐ辞める」
「石の上にも三年が通用しない」
「我慢や根性が足りない」
こうした言葉は、今もなお繰り返されています。
しかし、その一方で若い世代の多くが、
仕事を選ぶ際に極めて共通した問いを持っていることに
気づいているでしょうか。
「この仕事、3年後の自分に何が残るんだろう?」
これは誰かに教えられた価値観ではありません。
キャリア論を学んだからでもありません。
環境が、時代が、そう考えざるを得なくさせている
それが実態です。
今回はその背景について詳しく解説をして行きましょう。
1.「頑張る大人」を見て育ったはずなのに、なぜこうなったのか

若い世代は、決して「働く大人」を見ずに育ったわけではありません。
むしろ逆です。
- 朝早く出て、夜遅く帰ってくる親
- 休日も仕事の電話に追われる姿
- 疲れ切っているのに、報われているとは言えない現実
それらを、日常として見てきました。
そして気づいてしまったのです。
「一生懸命働くこと」と「幸せになること」は、必ずしも一致しない
これは、とても残酷な学習体験です。
だから若い世代は、
「努力しない」のではありません。
「努力の向き先」を異常なほど気にするのです。
2.終身雇用は“崩れた後”の世界しか知らない

私たちの世代は、
- 終身雇用は当たり前だった
- でも、いつか崩れるかもしれない
という“移行期”を生きてきました。
一方で、今の若い世代は違います。
- 定年まで同じ会社にいる人は少数派
- 転職経験がある大人が周囲に普通にいる
- 大企業ですら安泰ではない
これが前提条件です。
つまり若い世代にとって、
「会社に人生を預ける」という発想自体がすでに非現実的
なのです。
だから彼らは、こう考えます。
- 会社名よりも、何ができるようになるか
- 配属よりも、どんな経験が積めるか
- 評価よりも、市場で通用するか
結果として生まれるのが、
「3年後の自分に残るか?」という問いです。
3.情報過多社会が「夢」を現実に引き戻す

今の若い世代は、
キャリアの“結末”を早い段階で知ってしまいます。
SNSや動画、転職体験談によって、
- 伸びない職種
- 年齢で詰む仕事
- 燃え尽きた人のリアルな声
が、フィルターなしで流れ込んできます。
昔なら、
- とりあえず頑張ってみる
- ダメならその時考える
で済んだものが、
今は済みません。
「その選択の先に、何が待っているか」
「自分は同じ結末を辿らないか」
を、考えずにはいられないのです。
4.学校教育の今 ―進路指導で基本的に伝えていること-

現在の高校の進路指導で、共通して伝えられている軸は次の4つです。
- 「自分を知ること」
- 「進路は一つではない」
- 「社会に出る準備をすること」
- 「最初の選択で人生は決まらない」
昔のように
「とにかく安定した会社に行け」
という一択指導は、かなり減っています。
4.1 自己理解を深めるアドバイス
進路指導でまず行われるのが、自己理解の促進です。
具体的には
- 得意・不得意の整理
- 興味・関心の棚卸し
- 学校生活での経験の振り返り
- 向いている環境(チーム/個人、指示型/裁量型)
👉 目的は
**「向いていない道を選ばない」**こと。
「夢を持て」よりも
「無理が出にくい選択をしよう」という現実的なトーンです。
4.2 進路は一つではない、という前提の共有
今の進路指導では、
- 就職か進学か
- 文系か理系か
- 正社員か非正規か
を絶対的な分岐点とは教えていません。
むしろ、
- 途中で方向転換できる
- やり直しは可能
- キャリアは積み直せる
という考え方を伝えています。
👉
「最初の進路選択=人生の決定」
という呪縛を外すことが目的です。
4.3 就職指導で特に強調されるポイント
学校が強く意識しているのは「定着」
高校の就職指導で最も重視されているのは、
**内定数より“定着率”**です。
そのため、次のようなアドバイスが多くなります。
- 職場見学は必ず行く
- 離職率の高い業種は慎重に
- 勤務時間・休日・通勤距離を見る
- 最初は「安定」を優先してよい
👉 学校側としては
「すぐ辞めさせないこと」が最大の使命です。
4.4 「ブラック企業を避ける」ための現実的指導
近年、進路指導で明確に増えたのがこの視点です。
- 極端な長時間労働
- 残業代の扱いが曖昧
- 離職率が異常に高い
- 求人票の表現が曖昧
など、具体的なチェックポイントを生徒に伝えます。
ただし、
「この会社はブラックだ」と断言することはしません。
👉 あくまで
判断材料を渡す立場に徹しています。
4.5 独立・フリーランスについての扱い
正直なところ、学校教育では
- いきなり独立
- フリーランス一本
を積極的に勧めることはほぼありません。
理由は明確で、
- 生活の不安定さ
- 社会保障の弱さ
- 失敗時のフォローが難しい
からです。
そのため、
- まずは組織で働く
- 社会人基礎力を身につける
- 将来の選択肢として知っておく
という抑制的・現実的な伝え方になります。
4.6 教員側の「本音」はどこに・・・
ここは表に出にくい部分ですが、重要です。
多くの進路指導担当は、こう考えています。
「夢を否定したくはない」
「でも、生活が壊れる選択は止めたい」
だからこそ、
- 安定寄りの助言
- 無理をしない進路
- “戻ってこられる道”
を優先します。
これは保守的というより、
責任を負う立場としての判断です。
4.7 進路指導の限界も存在する
一方で、学校進路指導には限界があります。
- 企業の内情までは分からない
- 卒業後のフォローが難しい
- 社会構造の変化に追いつききれない
そのため、近年は
- 外部講師
- キャリア教育プログラム
- 企業連携
などで補完しようとする動きも増えています。
ここまでのまとめ
現在の学校教育における進路指導は、
- 夢を押し付けない
- 一つの正解を示さない
- なるべく詰まない道を選ばせる
という、かなり現実的で防衛的な指導が主流です。
そして教員が最も恐れているのは、
「希望を持たせること」より「無責任な背中押し」
です。
5.時間を「コスト」ではなく「資産」として捉えている

若い世代は、お金にシビアだと言われます。
しかし実際には、それ以上に時間にシビアです。
- お金は後から取り戻せる
- でも、20代の3年は二度と戻らない
この感覚を、非常に強く持っています。
そのため、
- ただ忙しいだけの仕事
- 誰でもできる作業の繰り返し
- 成長実感のない業務
に対して、強烈な違和感を覚えます。
「この3年、本当に投資になっている?」
「将来の自分が感謝する時間?」
この問いが、
「3年後の自分に残る?」という言葉に集約されていきます。
6.正解ルートが消えた社会での“自己防衛”

かつては、
良い学校 → 良い会社 → 安定
という分かりやすい正解がありました。
今は違います。
- 正解は複数ある
- でも失敗の責任は自分に返ってくる
- 誰も「これを選べば大丈夫」とは言ってくれない
だから若い世代は、
選択のたびに自問します。
「これは逃げか?」
「それとも、納得できる選択か?」
「3年後の自分に残る?」という問いは、
後悔しないための自己防衛装置なのです。
7.この思考は「臆病」ではなく「進化」

この考え方を、
「不安が強い」「慎重すぎる」と切り捨てるのは簡単です。
しかし、実態はその逆です。
- 無意味な消耗を避ける
- 再現性のない成功を疑う
- キャリアを自分で設計しようとする
これは、
**過去世代の失敗を学習した結果の“進化形”**です。
若い世代は、
「頑張るかどうか」ではなく「どこに頑張るか」
を、極めて真剣に考えています。
8.「3年後に残る仕事」とは何か

では、若い世代が言う
「3年後に残る仕事」とは何でしょうか。
それは必ずしも、
- 高収入
- 有名企業
- クリエイティブな職種
ではありません。
むしろ、
- 他社でも説明できる経験
- 言語化できるスキル
- 自分なりに成長を語れる実績
こうした持ち運べる価値です。
9.最後に・・・
――この問いを否定しない社会へ――
「この仕事、3年後の自分に残る?」
この問いは、
若者の弱さではありません。
それは、
- ブラックな消耗を避け
- 詰むキャリアを回避し
- 自分の人生に責任を持とうとする
静かで、しかし極めて合理的な問いです。
そして私たち大人世代に求められているのは、
- 若者を根性論で黙らせることでも
- 「昔はこうだった」と語ることでもなく
どんな仕事なら「残る」と言えるのかを示すこと
なのかもしれません。
この問いに答えられない職場や業界が、
これから選ばれなくなる――
それが、今まさに起きている変化なのです。
株式会社S.I.Dはこれからも転職に有意義な情報を提供致します。
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