目次
1.STAR法を用いた具体的な経験の整理
2.各フレームワークの活用法と例文
3.30代転職者の志望動機で避けるべき表現
4.志望動機を書く際の文字数や構成の注意点
5.成功する志望動機の構成と締めくくり
6.今後の転職活動に向けてのアドバイス
7.最後に・・・
1.志望動機が思いつかない…そんなときに使えるフレームワーク3選
志望動機を考えるには、ただ漠然と悩むよりも「型」を使って整理する方が効果的です。ここでは代表的な3つのフレームワークをご紹介します。
1.1 STAR法を用いた具体的な経験の整理
STAR法とは、以下の4要素で構成されるフレームワークです。
- Situation(状況)
- Task(課題)
- Action(行動)
- Result(結果)
この方法を使うと、自分の経験を具体的にかつ構造的に振り返ることができます。たとえば、前職でのプロジェクト経験をSTAR法で整理すると、企業に対して自分の強みや行動パターンを明確に示すことができます。
1.2 KSA法で自分のスキルを明確にする
KSA法とは、以下の要素に分けて自己分析を行う手法です。
- Knowledge(知識)
- Skill(技術)
- Ability(能力)
「私は○○が得意です」といった抽象的な表現ではなく、それがどのカテゴリに属し、どう役立つかを説明できるようになります。
たとえば、営業職の場合
- Knowledge:市場動向や競合製品の知識
- Skill:プレゼンテーションスキル、交渉力
- Ability:顧客ニーズをくみ取る力、粘り強さ
このように整理することで、「御社で活かせる私の強み」が明確になります。
1.3 企業理念と自分のビジョンの一致
もう一つ大切なのが「企業との方向性の一致」です。これを可視化するためには、以下のような問いかけが有効です。
- この会社はどんな未来を目指しているのか?
- 自分はどんな価値観を持ち、どんな社会的意義を感じて働きたいか?
- 両者の交差点はどこか?
企業の理念やミッションを深掘りし、自分のビジョンと接続できるポイントを見つけましょう。
2.各フレームワークの活用法と例文

2.1 STAR法の使い方と志望動機の例文
【例】 「前職では営業部門にて新規顧客開拓を担当しておりました(S)。当初はアポイントが取れず苦戦しましたが(T)、顧客ターゲットの見直しと営業資料の改善を行いました(A)。その結果、前年同期比で新規受注件数が150%となり、部内トップの成績を収めました(R)。この経験を通じて、自ら課題を発見し行動に移す力を身に付けたと考えております。貴社の営業職においても、同様に自律的な働き方で成果に貢献したいと考えております。」
2.2 KSA法を使った魅力的なアピール方法
【例】 「私の強みは、3つの要素でご説明できます。まず、業界動向を常に学び続けてきた知識(K)。次に、実際に提案書を自ら作成しプレゼンを行ってきた経験によるスキル(S)。そして、お客様の課題を的確にくみ取り、解決策を提示する力(A)です。これらを御社のソリューション営業に活かせると考え、応募いたしました。」
2.3 企業理念との整合性を示す志望動機例
【例】 「私は『テクノロジーで人々の生活を豊かにする』という貴社の理念に共感しています。大学時代からITを通じた社会課題解決に関心があり、前職でも高齢者向けアプリ開発に従事しておりました。今後は貴社の開発チームの一員として、より多くの人に価値あるサービスを届けたいと考えております。」
2.4 未経験者が犯しやすい間違いとその対策
未経験業界や職種への挑戦では、誰しもが「経験がない自分をどう売り込めばよいのか」と悩みます。その結果、つい使ってしまいがちなのが、以下のような曖昧で感覚的な志望動機です。
【よくあるNG表現】
- 「昔からこの業界に興味がありました」
- 「御社の仕事をぜひやってみたいです」
- 「新しいことにチャレンジしたいと思いました」
これらは、「熱意」や「やる気」は伝わるかもしれませんが、根拠に欠けており、採用担当者からすると「準備不足」「なんとなく応募したのでは?」という印象になってしまうこともあります。
【NGの背景】
未経験者の場合、即戦力としてのアピールが難しいため、意欲やポテンシャルが重視されますが、それを裏付ける「行動の証拠」がなければ、説得力を持ちません。つまり「準備・学習・意識的な努力」の痕跡が必要なのです。
【改善ポイント】
以下の3つの要素を盛り込むことで、未経験でも「意欲と適性がある人材」としてアピール可能です。
- 学んだこと:業界研究、資格取得、関連書籍の読破、セミナー参加など
- 準備したこと:ポートフォリオの作成、副業・インターン、関連業務の経験など
- 貢献できること:前職で培ったスキルの転用可能性
【改善例】
「未経験ではありますが、○○資格を取得し、週末に○○業界のセミナーに参加するなど、業界理解を深めてまいりました。また、前職のプロジェクト管理経験は、貴社の業務においても十分に活かせると考えております。これらを踏まえ、貴社の一員として戦力になれるよう、努力を惜しまない覚悟です。」
3.30代転職者の志望動機で避けるべき表現

30代ともなると、これまでの職歴が評価の中心になります。そのため「前職の否定」や「目的のない転職」は、致命的な印象を与えかねません。
【ありがちなNG表現】
- 「前職の環境が合わなかったため」
- 「もっと成長できる会社を探して」
- 「キャリアに不安を感じて転職を決意した」
これらは一見、前向きなように聞こえますが、受け取る側にとっては「問題があった人」や「キャリアの軸が定まっていない人」と映ってしまうリスクがあります。
【NGの背景】
30代は「即戦力」や「安定したキャリア志向」が重視される年齢層。だからこそ、志望動機には「経験の延長線上にある発展性」や「長期的なビジョン」を求められるのです。
【改善ポイント】
- 過去の経験と応募先企業のつながりを明確にする
- ポジティブな転職理由を示す
- 具体的な貢献イメージを持たせる
【改善例】
「これまでのキャリアでは、営業部門の立ち上げやマネジメント業務に携わり、業績改善や人材育成に取り組んできました。今後は、より幅広い業界に対応する事業環境で、これまでの経験を活かしながら成長したいと考えております。貴社の○○事業は、私が従事してきた○○領域と親和性が高く、即戦力として貢献できると感じ、志望いたしました。」
4.志望動機を書く際の文字数や構成の注意点

志望動機の内容は「長ければ良い」「詳しければ良い」わけではありません。特に履歴書や職務経歴書では、伝えたいポイントを短く・端的にまとめる力が求められます。
【推奨文字数】
- 履歴書の場合:300~400文字
- 職務経歴書の場合:500~600文字(志望動機欄がある場合)
【基本構成:3ステップ】
- 応募理由(企業への関心・共感)
なぜこの企業・業界に惹かれたのか。理念や事業内容への共感を示します。 - 自己PR(強み・経験)
これまでの職務経歴の中で得た知識・スキル・実績をアピールします。 - 入社後のビジョン(貢献・成長)
貢献できる業務領域や、会社とともに成長していく意欲を具体的に語ります。
【例文(400字)】
「貴社の掲げる『顧客本位の価値提供』という理念に強く共感し、これまでの営業経験を活かして挑戦したいと考え志望いたしました。前職では、中小企業向けのソリューション営業として年間売上1億円を達成し、業務改善提案や顧客満足度向上に貢献してまいりました。こうした経験を通じて、ヒアリング力や提案力を磨いてきました。貴社の○○サービスにおいても、顧客目線を大切にしながら提案活動を行い、クライアントとの信頼関係構築に努めてまいります。」
5.成功する志望動機の構成と締めくくり

5.1 効果的な志望動機の基本構成
志望動機は、いわば「自分と企業との接点を言語化する」ための文章です。効果的な志望動機を書くには、以下の3つの要素をバランスよく盛り込むことが重要です。
- 企業への共感や関心:なぜその企業を選んだのか、何に魅力を感じたのか
- 自分の強みや実績:その企業で活かせるスキル・経験・マインドセット
- 入社後の貢献イメージ:どのように活躍し、どのような価値を提供したいか
この3ステップを踏むことで、読み手に「この人は自社のことを理解していて、即戦力として期待できそうだ」と思わせることができます。
【構成例】
- 貴社に応募した理由(理念・事業内容・社会的意義などに共感)
- 自分のこれまでの実績・強み(具体例を交えて)
- その強みをどのように貢献できるか(未来志向で)
5.2 志望動機の締めくくりで伝えたいポイント
志望動機の最後の一文は、強く印象に残すチャンスです。ここで迷いがあると、「なんとなく書かされた志望動機」として扱われてしまいます。
締めくくりの際に意識すべきポイントは以下のとおりです。
- 入社後の成長意欲や目標を簡潔に述べる
- 長期的な視野を持っていることを示す
- あくまで前向き・肯定的なトーンで終える
【例文】 「これまで培ってきた分析力とチームマネジメント力を活かし、貴社のさらなる事業拡大に貢献してまいりたいと考えております。」
「貴社の一員として、社会に価値を提供するサービスを共に創り上げていけることを楽しみにしております。」
このように、未来志向でありつつ具体性のある一文で締めると、信頼感と意欲が伝わります。
5.3 面接官の印象に残る志望動機の書き方
書類選考だけでなく、面接の場でも志望動機は必ず問われます。面接官に強く印象づけるためには、次のような工夫が効果的です。
1. ストーリー性を持たせる
「なぜこの業界に関心を持ったのか」「なぜ今のタイミングで転職を決意したのか」など、あなた自身のキャリアストーリーを志望動機に織り交ぜましょう。人は物語に引き込まれやすいため、あなたの背景が説得力をもって伝わります。
2. 数値や実績で裏付ける
ただ「成果を上げました」と言うよりも、「前年比120%の売上増」「月間クレーム件数を50%削減」といった具体的な実績を添えることで、説得力が飛躍的に高まります。
3. 応募企業特有のキーワードを含める
企業のビジョン・方針・スローガンなどを文章に自然に盛り込むと、「この人は本当にうちのことを理解している」と感じさせることができます。
6.今後の転職活動に向けてのアドバイス

6.1 志望動機作成のコツと次へのステップ
志望動機が思いつかないと悩むのは、決してあなただけではありません。むしろ多くの転職者が、志望動機の壁にぶつかりながらも、試行錯誤を重ねて乗り越えていきます。
本記事で紹介した3つのフレームワーク(STAR法・KSA法・理念との一致)を活用すれば、自分の経験や思いを客観的に整理できるようになり、より伝わる志望動機を作るための“型”が見えてきたはずです。
また、志望動機を一度で完璧に仕上げる必要はありません。以下のようなステップで段階的にブラッシュアップしていきましょう。
- 自己分析(過去の経験や価値観を振り返る)
- 企業研究(理念・事業内容・働き方・競合と比較)
- フレームワークで志望動機の骨組みをつくる
- 書いた文章を音読・添削し、伝わる表現にする
- 信頼できる人に見てもらい、第三者視点の助言を得る
少しずつでも手を動かし、言葉にしていくことで、自分だけの「納得感のある志望動機」が形になっていきます。
6.2 転職エージェントを利用した志望動機作成の支援
どうしても自分一人で整理できない、あるいは「この志望動機で本当に良いのか分からない」と不安な方は、転職エージェントのサポートを活用するのも一つの方法です。
エージェントのメリットは以下の通りです。
- 業界・職種に応じた書類作成のアドバイスがもらえる
- 企業ごとに響くポイントを教えてもらえる
- 面接対策や想定質問への回答準備もサポート
- 自分では気づかない魅力を引き出してくれる
特に非公開求人や面接前の企業情報など、個人では入手しにくい情報を教えてくれる点も大きな利点です。自分の強みをどう表現すればよいか分からない人は、まずは相談だけでもしてみる価値はあります。
無料で利用できるエージェントが多いため、1社に絞らず、複数のサービスを併用することでより客観的なフィードバックが得られやすくなります。
7.最後に・・・
志望動機は、「あなたがどんな人間で、何を大切にして、どこへ向かおうとしているのか」を企業に伝える重要なメッセージです。ただの通過点として捉えるのではなく、自分の人生や価値観を見つめ直す貴重な機会として活用してみてください。
転職活動のなかでも、志望動機の作成はとりわけエネルギーが必要なプロセスです。しかし、それだけに、自分の内面と向き合い、働く目的を再確認することで、面接の場でも揺るぎない自信を持って話せるようになります。
企業に伝える言葉の背景には、あなたの歩んできた道、これから目指したい未来がにじみ出ます。それこそが、画一的な志望動機では伝わらない「あなたらしさ」そのものです。
本記事を参考にしながら、ぜひ“借り物の言葉”ではなく、自分の経験と価値観に根差した“あなただけの言葉”で思いを届けてください。
納得のいく志望動機ができれば、企業とのマッチングも高まり、結果的に面接通過率や満足度の高い転職にもつながります。
私たち株式会社S.I.Dでは、志望動機や職務経歴書の添削、面接対策など、転職に関するあらゆるご相談を無料でサポートしています。客観的な視点からあなたの魅力を引き出し、納得のいく転職が実現できるよう全力でお手伝いしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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あなたの新しい一歩が、より良い未来につながることを心から願っています。
自分の可能性を信じ、前向きに転職活動を進めていってください。