ここを意識するだけ!目を惹く「魅力的な職務経歴書」の作り方。
目次
1.職務経歴書の重要性と目的
2.職務経歴書の基本的な書き方
3.職務経歴書に必要な情報
4.応募先企業に合わせた職務経歴書の作成
5.職務経歴書作成時の注意点
6.職務経歴書のフォーマットとテンプレート
7.職務経歴書の提出方法とマナー
8.職務経歴書の見本と例文
9.職務経歴書のチェックと改善方法
10. 最後に
1. 職務経歴書の重要性と目的
1.1 職務経歴書とは?基本概念
職務経歴書とは、これまでの職歴や職務内容、身につけたスキルや資格などを詳細に記載した書類であり、求職活動において非常に重要な役割を果たします。履歴書が「いつ・どこで・何をしていたか」を簡潔に記すのに対し、職務経歴書は「どのような業務を担当し、どんな成果を上げたか」を伝えることが主眼です。
1.2 職務経歴書の目的と役割
職務経歴書の目的は、採用担当者に対して「この人は自社に貢献できるかどうか」という判断材料を提供することです。過去の職務経験を通じて得た知識やスキル、実績をアピールし、自分の強みを明確に伝える場として活用されます。単なる職務の羅列ではなく、自分がどのように課題に取り組み、成果を出してきたのかを論理的に示すことが重要です。
1.3 履歴書との違い
履歴書はフォーマットが決まっており、学歴・職歴・資格などを簡潔に記載するものです。一方、職務経歴書は自由度が高く、業務内容を具体的に説明できるため、自身の強みや成果を詳しく伝えることが可能です。したがって、履歴書だけでは伝えきれない情報を補完する書類として、職務経歴書は極めて重要です。
1.4 職務経歴書はいつ頃から用いられているのか?
日本において職務経歴書が一般的に使われるようになったのは1990年代以降、特に中途採用市場が拡大した時期です。バブル崩壊後、終身雇用の崩壊や企業の人材の流動化に伴って、即戦力人材の採用が重視されるようになり、履歴書だけでは把握できない職務内容や成果を記載する書類として職務経歴書の重要性が高まりました。
1.5 海外では履歴書や職務経歴書はどうなっている?
海外、特に欧米では「レジュメ(Résumé)」や「CV(Curriculum Vitae)」といった書類が日本の職務経歴書に該当します。アメリカでは、1〜2ページ程度の簡潔なレジュメが一般的で、職務経験やスキル、業績をポイント形式で記述します。一方、ヨーロッパや研究職・アカデミア分野ではCVが多く用いられ、学術業績や職務経歴をより詳細に記載する形式が主流です。日本の職務経歴書はこれらの中間的な性格を持ち、自由記述形式でありながらも、実務内容や成果を丁寧に記載する点が特徴です。
1.6 添え状(カバーレター)について
職務経歴書を提出する際には、「添え状(カバーレター)」を同封することが望ましいとされています。添え状は、応募の動機や志望理由、職務経歴書の要点を簡潔にまとめた1枚の文書であり、採用担当者への第一印象を決定づける重要な役割を果たします。形式的な挨拶文にとどまらず、なぜその企業に興味を持ったのか、自分がどのように貢献できるのかを簡潔に記載することで、職務経歴書への導入的な効果も生まれます。
2.職務経歴書の基本的な書き方
2.1 構成要素の理解
職務経歴書は、以下の構成要素で成り立っています。
- タイトル(職務経歴書)
- 氏名、作成年月日
- 職務経歴(会社名、勤務期間、部署名、役職、業務内容)
- スキル・資格
- 自己PR
- 志望動機(任意)
2.2 項目ごとの具体的な記載方法
職務経歴では、会社名、所属部署、役職、在籍期間を記載し、その後に担当業務や実績、工夫した点などを具体的に述べましょう。 スキル・資格の欄では、職務に関連するものを優先して記載します。 自己PRは、企業に対するアピールポイントを簡潔にまとめ、応募職種と関連づけて書くと効果的です。

2.3 編年体と逆編年体の違い
編年体は、時系列順に職歴を記載する方法で、キャリアの積み上げがわかりやすい利点があります。 逆編年体は、直近の職歴から記載する形式で、現在のスキルや経験を強調できます。即戦力をアピールしたい場合に適しています。
3.職務経歴書に必要な情報
3.1 職歴と職務内容の記載
単に「営業職」や「事務職」と記すだけでなく、「どのような業務を担当し、どのような成果を出したか」を記載することで、具体性と説得力が増します。可能であれば、数字(売上増加率、達成件数など)を用いて説明すると、より評価されやすくなります。
3.2 スキルや資格の書き方
所有する資格やスキルは、職務に関係するものを中心に記載します。TOEICや簿記、情報処理技術者など、定量的な評価ができる資格は特に有効です。ITスキルや語学力なども具体的なレベルとともに記載しましょう。
3.3 自己PRとアピールポイントの整理
自己PR欄では、自分の強みを明確にして、それがどのように応募先企業で活かせるかを示します。過去の成果、行動特性、価値観を一貫して表現できれば、説得力が増します。STAR法(Situation、Task、Action、Result)に従って記述すると、論理的で印象的な文章になります。
4.応募先企業に合わせた職務経歴書の作成
4.1 求人情報をもとにした内容調整
求人票に記載されている業務内容や求められるスキルをもとに、職務経歴書の内容を調整します。過去の経験の中から、該当する業務を強調することで、マッチング度を高められます。
4.2 企業文化とニーズの理解
企業のホームページや採用ページ、SNSなどを確認し、企業文化や価値観、求める人物像を把握します。そのうえで、自身の特性や経験がいかに企業に貢献できるかを言語化しましょう。
4.3 業種別の職務経歴書のポイント
業種ごとに重視されるポイントは異なります。たとえば、営業職であれば売上実績や顧客開拓力、IT職であれば技術スキルやプロジェクト経験、事務職であれば正確性や業務効率化の実績が求められます。業種に応じたアピールが大切です。

5.職務経歴書作成時の注意点
5.1 記載内容の正確さと誠実さ
事実に基づいた記載を心がけましょう。誇張や虚偽の記載は信用を失うだけでなく、内定取り消しのリスクも伴います。誠実な記載が信頼につながります。前職での経験業務についても「できる」では無く「経験したことがある」という表現にしましょう。スキルが「ある・ない」やその業務が「できる・できない」の判断は企業側が行います。職務経歴書は謙虚さを持って作成しましょう。
5.2 誤字脱字のチェック方法
文章のミスは印象を大きく損ねます。自分での見直しだけでなく、第三者に読んでもらう、音読する、紙に印刷して確認するなどの方法を取り入れることで、誤字脱字を防ぎやすくなります。ChatGPTなどAIを用いて誤字や表現、言い回しに伝わりにくさが無いかチェックしてみるのも良いでしょう。
5.3 レイアウトやフォントに関する注意
レイアウトは見やすさを重視しましょう。フォントサイズは10.5〜11pt程度が適当で、フォントは明朝体かゴシック体が一般的です。項目ごとに余白をしっかり取り、読み手がストレスを感じない工夫を施します。
6.職務経歴書のフォーマットとテンプレート
6.1 Wordでの作成方法
Microsoft Wordを使用すると、自由にレイアウトを調整できるためおすすめです。表や箇条書きを使って、視認性の高い職務経歴書を作成できます。保存形式は.docxが一般的ですが、提出時にはPDFに変換するのがマナーです。
6.2 PDF保存のメリットとデメリット
メリット:
- レイアウトが崩れない
- 開封環境による影響が少ない
デメリット:
- 修正が難しい
- 添削依頼時に再編集が必要
6.3 ダウンロード可能なテンプレート紹介
インターネット上には、無料で利用できるテンプレートが多数あります。厚生労働省「ハローワークインターネットサービス」や転職サイト(リクナビNEXT、マイナビ転職など)からダウンロード可能です。
ハローワークインターネットサービス 履歴書・職務経歴書の書き方
リクナビネクスト 履歴書テンプレート
マイナビ転職 履歴書テンプレート【6種類】
7.職務経歴書の提出方法とマナー

7.1 メールでの送付時の注意
件名は「職務経歴書の送付/氏名」など、わかりやすく記載します。本文には簡潔に送付の目的を伝え、添付ファイル名には氏名と書類の種類を含めましょう(例:「職務経歴書_山田太郎.pdf」)。
7.2 郵送時の準備とマナー
送付書類はクリアファイルに入れ、封筒には「応募書類在中」と記載します。送付状(カバーレター)を添えて、書類全体の印象を良くしましょう。封筒は白色の角形2号を使うのが一般的です。
7.3 面接時の持参方法
事前に提出している場合でも、予備として持参すると安心です。A4サイズの書類が入るフォルダに入れ、清潔感のある形で携行します。
8.職務経歴書の見本と例文
8.1 成功する職務経歴書の例
例えば、営業職であれば以下のような記載が効果的です: 「法人営業として年間売上目標1,000万円を120%達成。新規顧客開拓を通じて、前年同期比150%の成約率を記録」
職種別の具体例
- 事務職:「業務フローを見直し、月次処理の時間を20%短縮」
- IT職:「JavaとPythonを用いた業務システムの開発・保守を担当」
- 接客業:「来店客満足度アンケートで常時90点以上を獲得」
失敗しがちな書き方事例
- 「一生懸命頑張った」など抽象的な表現
- 過去の職歴が羅列されているだけで、業務内容が不明確
- 改行や見出しがなく、読みにくい文章構成
8.2 失敗しがちな書き方事例(職種別・対比形式)

〇営業職
悪い例①
「営業として頑張りました。たくさん契約を取りました」 → 抽象的で成果が見えず、説得力に欠ける
良い例①
「新規営業を担当し、年間売上1,000万円を120%達成。成約率は前年同期比150%を記録」 → 数値と成果を明確にし、行動と結果が伝わる
悪い例②
「主に既存先へのルート営業をしておりました」 → 御用聞きに思われてしまい営業スキルが測れない
良い例②
「〇〇エリアにてを担当(クライアント数40社)。2024年度は新機能が搭載された最新モデルを34社(契約率85%)に導入して頂く。昨対比では売上1,200万円増を達成。」 → 担当地域や商品知識の理解度と行動・結果が見て取れる。
〇経理職
悪い例①
「毎月の経理業務をやっていました」 → 内容が曖昧で、具体的な貢献が不明
良い例①
「月次決算の精度向上とスピード化を実現。決算処理を3営業日短縮し、他部署との連携を強化。会計システム刷新時にはマニュアル作成と研修を担当」 → 業務改善やチーム貢献が明確
悪い例②
「弥生会計を使用しての経理業務」 → 経理としてどこまでの業務を担当していたか不明
良い例②
「弥生会計を用いて月次決算、事業部ごとの年度決算資料を作成。この資料が株主総会での発表材料として活用される」 → どこまでの業務を担当していたが明確で自分の業務が最終的に何に活かされているか理解をしているのが推測される
〇コールセンターSV
悪い例①
「電話応対の管理をしていました」 → 管理範囲や成果が伝わらない
良い例①
「オペレーター20名のシフト管理・業績評価を担当。KPIとして応答率95%・CSスコア90点以上を6カ月連続で維持。新人育成制度を再構築し、離職率を20%改善」 → 管理職としての役割と数値成果が見える
悪い例②
「アポイント獲得率の向上に努める」 → 何をして向上したのか見えない
良い例②
「クライアント先に作業マニュアルの改善をプレゼン提案。許可を頂き実施。成約率を5%改善。2024年度上期の社内表彰を受ける」 →プレゼンスキルなどSVとしてどの位のスペックがあるのか判断がつく。
〇製造職
悪い例①
「機械を使って作業していました」 → 単純作業に見え、工夫や成果が伝わらない
良い例①
「生産ラインリーダーとして工程管理と改善提案を担当。作業効率を見直し、月間生産数を15%向上。3年間労災ゼロの実績を達成」 → チーム全体への影響や安全意識も含めて評価される
悪い例②
「日常点検、5S活動、グリス散布」 → 業務の羅列となっている
良い例②
「日常点検(週次、月次)及び不具合があった際の部品交換・修理対応(担当設備 〇〇社製 超複合加工機U-3000)。
メーカーへの修理依頼、請求支払い依頼申請までを担当」
「部内で5S活動に必要な備品の購入依頼・管理など。(年間予算10万円までの購入・予算管理)」
→ 業務内容だけではなくルーチンワークとして何を管理・マネージメントをしていたのかが判断ができる。
〇アパレル店長代理
悪い例①
「お客様に喜ばれる接客を心がけました」 → 熱意は伝わるが、具体性に欠ける。
良い例①
「接客態度が評価され、お客様からのご紹介だけで22名・100万円の売上を作ることができました。」 → 評価されたことが何に繋がったのか数値で判断できる。
悪い例②
「売り場責任者としてレイアウト変更を担当」 → 売り場面積や規模感が面接官に伝わらない。
良い例②
「売場レイアウトとディスプレイを改善し、週末売上を前年比120%に向上。スタッフの接客研修を実施し、客単価15%アップ。イベント企画で新規顧客獲得にも成功」 → 数字と工夫で成果をアピール
このように、抽象的な表現や成果が不明確な記載は避け、数字や具体的なアクションを交えた記述が重要です。読み手が「どのように貢献したのか」をひと目で理解できるよう心がけましょう。

9.職務経歴書のチェックと改善方法
9.1 第三者によるレビューの重要性
自分では気づきにくい表現や誤字脱字も、他者に読んでもらうことで改善点が見えてきます。可能であれば、転職エージェントやキャリアカウンセラーの意見を取り入れると良いでしょう。
9.2 フィードバックを活かした改善方法
受け取ったフィードバックをもとに、内容をブラッシュアップしましょう。特に読み手に伝わりにくい箇所、説得力に欠ける部分に注意を払いながら、表現を調整します。
9.3 書類選考通過のためのポイント
- 応募企業に合わせたカスタマイズ
- 数字や事実に基づく記載
- 誤字脱字やレイアウトの整備
9.4 見直し時の注意点とチェックリスト
職務経歴書を提出する前に、以下のチェックポイントを確認しましょう:
- 誤字脱字の有無:スペルミスや変換ミスがないか。
- 読みやすいレイアウト:余白、改行、見出しが適切か。
- 内容の整合性:日付や会社名などが履歴書と一致しているか。
- 事実と成果が明記されているか:数字や結果を交えて具体的に書かれているか。
- 応募企業への適合性:企業ごとに調整されているか。
- 不要な情報はないか:応募職種に関係ない情報が多すぎないか。
- ファイル名と形式:適切なファイル名(例:職務経歴書_氏名.pdf)になっているか。
これらをチェックし、可能であれば第三者の目を借りて最終確認を行いましょう。
10.最後に

職務経歴書は、単なる経歴の羅列ではなく、「自分という人間がどのような価値を企業にもたらせるか」を伝える大切なプレゼンテーション資料です。形式や内容を整えることはもちろん重要ですが、自分自身の経験を振り返りながら、強みや成果をしっかりと言語化する過程こそが、転職活動の成功に向けた準備の第一歩となります。
本ガイドを参考に、あなた自身のキャリアを最大限に表現できる職務経歴書を作成してください。そして、妥協のない準備が、希望する未来への扉を開いてくれることでしょう。
株式会社S.I.Dの人材紹介サービスでは職務経歴書の添削のサポートも行っています。職種やその転職先毎のマッチした職務経歴書の作成のアドバイスなども面談の中で行っています。
あなたの挑戦する姿を心から応援しています。